認知に関する質問
赤ちゃんと血縁上の父との間に、法律上の親子関係を形成するためには、認知が必要です。
認知により、父との間に扶養*・相続**等の権利義務関係が生じます。

*扶養の義務は、親が子に「生活水準の高い側の親と同程度の生活を保障すべき」と解されます。男性の方が生活水準が高いと示すことができれば、血縁上の父から子の養育費を受けることができます。

**相続の際、父の認知を受けた非嫡出子は、嫡出子と同等の法定相続分を有します。

(胎児認知) 認知届に必要事項を記入し、母の同意を得た上で、母の本籍地に提出します。

(出生後の認知) 認知届に必要事項を記入し、父の本籍地・居住地または子の本籍地に提出します。

※出生届を提出する際、同時に認知届を提出することができます。

強制認知の手続を行うことができます。
子(またはその子孫)あるいは法定代理人から父に対して、認知請求の手続をすることができます。認知請求を認容する審判・判決が確定すると、任意認知なされた場合と同じように、子と父との間に法律上の親子関係が発生します。

裁判所HP(認知調停)
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_07_18/
http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_kazityoutei/syosiki_01_42/index.html
  • 赤ちゃんの出生前におこなう胎児認知は、子の母(妊婦さん)の同意がなければおこなうことができません。したがって、胎児認知は子の母の意思で拒むことができます。
  • 出産後の認知は父による単独の法律行為です。未成年の子に対する認知を拒否することはできません。
  • 子の成人後の認知は、子本人の同意がなければおこなうことができません。
  • 胎児認知であれば、出生届の提出時に父について記入することができ、初めから子の戸籍に父についての記載がされます。
  • 出生後の認知では、子の戸籍に父による認知の事実が追記されます。
  • 出生届と認知届を同時に提出する場合は、子の戸籍には初めから父についての記載がされます。

※もし父が認知に応じなければ、出生前でも母が父を相手方として調停(胎児認知の届出を求める調停)を申し立てることができますが、調停が不成立となった場合には、出生後でなければ認知の訴えを提起することはできません。

  • 父親が未成年であっても、認知は可能です。
  • 未成年が認知をする場合も、その親の同意は不要です。本人の意思のみによって認知をすることができます。

参照:民法第780条  認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。

  • 赤ちゃんは夫婦の嫡出子となります。
  • すでに父の認知を受けている赤ちゃんは、父母の婚姻により、自動的に夫婦の嫡出子となります。(婚姻準正)

参照:民法第789条  父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。

認知を行うと、父の戸籍に記載されます。
父の戸籍の「身分事項欄」(出生や婚姻等について書かれる部分)に、認知の年月日、子の氏名等が記載されます。

子を認知した父の戸籍(例)
戸籍に記録されている者 [名]太郎
[生年月日]昭和○年○月○日
[父]甲山秀樹
[母]甲山梅子
[続柄]長男
身分事項 出生 [出生日]昭和○年○月○日
[出生地]東京都江東区
[届出日]昭和○年○月○日
[届出人]父
[送付を受けた日]平成○年○月○日
[受理者]東京都江東区長
婚姻 [婚姻日]平成○年○月○日
[配偶者氏名]乙山花子
[従前戸籍]東京都江東区 甲山秀樹
認知 [認知日]平成○年○月○日
[認知した子の氏名]丙山一郎
[認知した子の戸籍]千葉県松戸市 丙山松子
認知を受けると、子の戸籍に父についての記載と認知の年月日が追記されます。
子の戸籍の身分事項欄に、認知の年月日・認知者の氏名・認知者の戸籍について等が記載されます。

認知された子の戸籍(例)
戸籍に記録されている者 [名]一郎
[生年月日]平成○年○月○日
[父]甲野太郎
[母]丙山松子
[続柄]長男
身分事項 出生 [出生日]平成○年○月○日
[出生地]千葉県松戸市
[届出日]平成○年○月○日
[届出人]母
[送付を受けた日]平成○年○月○日
[受理者]千葉県松戸市長
認知 [認知日]平成○年○月○日
[認知者の氏名]甲山太郎
[認知者の戸籍]東京都江東区 甲山太郎
[送付を受けた日]平成○年○月○日
[受理者]東京都江東区長
  • 原則として、婚姻中に懐胎した子は夫の子として嫡出が推定されます。したがって夫以外の男性を父とするためには、まず夫から嫡出否認の手続をとってもらう必要があります。夫の嫡出が否定されないと、他者による認知はできません。(Q8を参照してください)
  • 例外的に、懐胎時期に別居・長期海外赴任などで夫の子ではないことが明らかであると認められる場合、「嫡出が推定されない子」として、親子関係不存在確認の手続により、母・子の血縁上の父などの請求で夫との父子関係を否定することができます。この場合には、血縁上の父による認知が可能となります。
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